私がカウンター席に座ると店主から一枚のチケットが渡された。
「○○さんからです」
喫茶店のコーヒーチケットという風習が好きで。
通常は一枚あたりコーヒー一杯分のチケットが数枚綴りになっている。
都度払いよりも値段が少しお得。
言うなれば『常連の証』でもある。
いつもコーヒーを飲むならばスマートに支払いをすることが可能だ。
スナックでいうボトルキープみたいなものだろう。
ちょっと違うか。
個人的にはスマートフォン決済よりもベリースマートな決済だと思っている。
コーヒーチケットには他にも利用方法がある。
それが今回のケースだ。
なんと、常連客同士で直接会わずして奢り奢られることができる。
つまり自分以外にも使えるという優れモノだ。
個人的には金銭よりもベリーベリースマートな決済だと思っている。
いろんな喫茶店を巡っていたら常連客にはなれない。
いや、別にならなくてもいい。
ただ私は自宅でもない職場でもないサードプレイスをいつも求めていた。
家族や友達やSNSとは似て非なる距離感。
密な連絡を取らなくても淡く繋がっている関係。
もしも何かあったら助け合えるかもしれないくらいの関係。
この絶妙な関係性が、これからの社会を生きていく上で必要な気がした。
ちょっと大袈裟かもしれない。
ちなみに、貰ったチケットは勿体無いので持って帰ることにした。
いざという時に使おうっと。