喫茶店で思い耽ったことを

頭の中で整理したりしなかったり

情報

喫茶店で「一番人気のメニューが売り切れだと知った瞬間に帰ったお客さんがいた」と聞いた。私は「その人にとってこの店は、たったひとつのメニューだけにしか価値がなかったんですね」と言った。我ながら酷い言い方だ、出禁を食らうかもしれない。でも、そ…

大衆

一昨日、0時頃から4時までクラブに居た。札幌のプレシャスホールは雑念が極めて少ない。ナンパが多いチャラ箱なんかではなく、撮影も厳しく禁止しており、音に限りなく集中できる。大衆の目を気にしなくていい。 SNSで知らない店の愚痴がトラブルを起こして…

待機

昼間、狸小路1丁目付近の駐車場に車を停めて10分くらい待つ。目の前をはしゃいだ家族が過ぎてゆく。ダウンジャケットがカラフルだ。母親が子供をそりに乗せて引きずっている。背もたれ付きだった。時間になったので車を降りて歩く。観光客で溢れかえる二条市…

逃避

急に映画を観に行くことを決めた。シアターキノで『三宅唱映画祭』と題して三宅監督作品の連日特別上映があった。一番観たかった『THE COCKPIT』も上映する。ヒップホップミュージシャンであるOMSBやBIMらSUMMITメンバーの音楽制作ドキュメンタリー。現在、…

微光

今は北見行きの高速バスに乗っている。バスターミナルに着くのは0時過ぎ。直前までパット・メセニーのライヴを観ていた。ほぼ予備知識は無かったけど変態ギタリストだという認識だけはあったのでチケットを衝動買いしていた。そのせいで、こんなスケジュール…

人間

正月、函館の実家に帰った。今年で99歳になる祖母は相も変わらず真っ暗な自室の中、PlayStation用ソフト『SIMPLE1500シリーズ Vol.1 THE 麻雀』で遊んでいた。いつからかルールもうろ覚えになってしまい、ひたすら「ポン」や「チー」と鳴くだけのゲームと化…

卯年

昨日、自分が年男だということを思い出した。36歳、ピョンピョン。今日で2023年が終わるが、親友の片頭痛と寄り添いながら2024年を迎えることになりそうだ。衰弱の足音が聞こえてくるようになった。日々の平穏よ、友人知人の笑顔よ、どうか私の鎮痛剤になっ…

青年

モカマタリのデミタスを飲む。カウンター席で本を読みながら思わず寝落ちしてしまった。デザイン性と落ち着きのある内装、客層に安心感があって、賑やかな会話やシャッター音が聞こえない喫茶店を探すのは案外難しい。10年振りくらいに来たけど昔より馴染め…

時代

たまに行くネオ純喫茶は刺激になる。こそばゆい変なツボを押される気分。郷に入っては郷に従え精神で挑む。令和の社会勉強の場かもしれない。 『マツコの知らない世界』という番組で『昭和レトロ喫茶店の世界』という特集をやっていたので、TVerの見逃し配信…

感覚

休日の喫茶店は賑やかなことが多い。今日は声が大きな三組のカップルの会話を聞きつつ読書をしていた。バターケーキの味をマルセイバターサンドで表現して、同棲か半同棲について話し合い、お互いのカメラを交換して撮ったら間違ってカメラのフラッシュをた…

商秋

初めて単焦点レンズを使用して、1ヶ月半ほど経過しただろうか。コンデジ慣れしたカメラ素人である私は緩急を付けながらも只管に戸惑い続けている。被写体との距離を以前より思慮せざるを得なくなり、自由度が制限されたように感じる。一方で、目前の相手を慮…

有益

誰かの役に立つ活動をしている人が沢山いる。 私は自分勝手で役立たずだと思っていた。 「役に立たなくても楽しかったらいいね」 と言われた。 「そうだね」 と言った。

静養

昨日から天皇皇后両陛下が北海道の釧路方面に来ている。4日前は大音量の右翼街宣車に遭遇した。2日前の閣議で決定された岸田内閣は54人全て男性議員だった。6日前には札幌地裁が同性カップルの扶養手当をめぐる裁判で原告側の請求を棄却した。先週から大通公…

斜里

お盆休み。葦の芸術原野祭のために初めて斜里町を訪れた。思えば、斜里発のリトルマガジン『シリエトクノート』をはじめ、ドキュメンタリーとフィクションを行き交う摩訶不思議な映画『Shari』(上映タイミングが合わず未鑑賞だがとても観たかった)、きのとや…

雑言

実家に住んでいた頃は超テレビっ子だったが、今では滅多に観なくなった。今週たまたまテレビを点けると、ある違和感に気付く。TBSテレビ『音楽の日』やフジテレビ『FNS27時間テレビ』で見られた観客の気持ち悪さ。女性ばかり、同じ動き、わざとらしい歓声。…

矜持

感情や記憶を切り取り、わざわざ別の形に置き換える芸術に興味がある。例えば、絵を描く場合。真っ直ぐな線を入念に想像しながらフリーハンドで描いてもほぼ間違いなく直線にならないが、描き手の今まで生きて育った個性が封入される。この時点で指先を通じ…

躊躇

私は人が好きだが深い交友は得意じゃない。続く自信がないから。こちらから踏み出せずに自然消滅した関係も多い。喫茶店は、カウンター席や会計時に話さざるを得ないタイミングが生まれてくれるから、なんとか話すことができる。それで精一杯だ。社交不安障…

毅然

高校時代にヒップホップを知った。今でも好きな音楽ジャンルのひとつ。大衆に寄り添うわかりやすい歌詞が当たり前なJ-POPの世界とは違い、個人的な主義主張を韻のリズ厶に落とし込んで誇示する。元々ヒップホップはニューヨークのブロンクス地区という貧民街…

承継

風の噂で、とあるインスタグラムの投稿を知った。語彙力のない月並みな表現で率直に言うと、とても不思議な気持ちになった。東京の向島に店を構える、季節の生ジュースとくるみパンの店カド。行ったことはないが、建物の老朽化により移転をすることはSNSのお…

共有

実は心のどこかで喫茶店を共有のつもりで私有化しようとしていないだろうか。蒐集品を見せびらかす快感にも似た、まさに資本主義社会的消費行動。もちろん、情報を共有する動機はさまざま。インターネット上で発信した情報が他人から関心や共感を得ることに…

鄙人

木々に囲まれた喫茶店で食事をしていた。10ポイントで飲み放題のコーヒーをお代わりしていると、店員たちが玄関に集まって外を見ながらソワソワしているのが視界に入った。焦った店員の一人がバックヤードに走っていく。違和感に気付いた客たちもザワザワし…

遁逃

大人になっても、捻れた性格が作用する。 喫茶店での写真撮影や、SNSで共有する行為を極力避けるようになった。いつからか喫茶店好きにとって当たり前なフォーマットになったから、無性につまらなくなった。スマートフォンに関しても「絶対にiPhoneは買わな…

悄悄

文筆家の岡田育がツイッターをやめる経緯をブログに書いていて、改めてツイッター及びユーザーの現状に落胆した。https://okadaic.net/archives/15576「今まで以上に加速するデマや誹謗中傷を飛ばし合い、今まで以上に過激に排外的に荒れていく日本語圏Twitt…

糠雨

会社の小さな飲み会のあと、そそくさと私は喫茶店へ向かった。夜遅くまで営業していて賑やか過ぎずに落ち着ける喫茶店は少ない。多くの店がコロナ禍によって営業時間を短縮した。仕事終わりに喫茶店へ寄りたい私としては寂しい。以前、長い付き合いの喫茶店…

律動

リズム論について探求した思想家ルートヴィッヒ・クラーゲスにとって、リズムは『抑制からの開放』であり、あらゆる手段によって心身の抑制を脱落させてリズミカルになることで、生命そのものが開放されるという。「踊るって大事過ぎる。私がクラブにずっと…

違和

店を利用する際の違和感とは何か。自分なりのTPOの定義から逸脱すると実感する。Time、Place、Occasion。思わず抱えてしまう違和感を可能な限り排除するには、さらに定義を狭めて防御すべきだろうか、それとも許容幅を広げるために視野を変えるべきか。 店内…

鼻毛

「詩を作ることは詩である。問題を解くことは整然としたゲームである。そこでは偶然や曖昧さも確定した駒である。精神の無力や、停止や、不安も、思いがけないことではないし、漠然とした無駄ではない。そうではなくて、作ることを主要なこととなし、作られ…

霹靂

「いらっしゃいま…あ、ども。髪型変えた?」 飄々としたマスターが入店した私に気付く。いや、マスターと呼ぶには少し年齢が若いから、私は彼を苗字で呼んでいる。彼の話は突拍子がない。毎回、青天の静電気くらいの衝撃を受ける。 「…新しいエアコンで冬を…

忘却

ブログを3回書いただけ。 すっかり忘れていた。 まさに三日坊主だ。 ファンというのは時に面倒臭い。 好き好き!くらいなら可愛いんだけど。 相手を知れば知るほど一言多くなったり。 周りを気にして牽制したりアピールしたり。 だから喫茶店ファンの私も気…

摩戛

発言と責任。 情報の扱い方と価値。 誰かが無許可で無責任に垂れ流した情報には果たして価値があるのか。 私は喫茶店に行くたび店主との会話で得た情報をメモに記録していた頃があった。 それをインターネットで晒したりしていた。 当時は様々な人からのリア…